代表メッセージ

廃棄される卵殻が文化を作る。グリーンテクノ21、創業18年の軌跡。

株式会社グリーンテクノ21代表取締役 下浩史

社会に役立つ卵殻リサイクルで起業。想像を越える大誤算。

グリーンテクノ21の創業は2003年に遡ります。当時はリサイクルブーム真っ只中。創業のきっかけ自体は、2,3年で生まれては消えていく多くの環境ビジネスと同様で、廃棄される卵殻を買い取って商品を作ることができれば、少しでも社会の役にたつかなと創業に至りました。

卵の殻に着目したのはほんの偶然で、あるお菓子メーカーで廃棄される大量の卵の殻を目にしたことがきっかけです。単純にこれは勿体ないと思い、なにか出来ないか持ち帰って卵をひたすら眺めて活用方法を考えました。調べると、パン・ケーキ・マヨネーズなどの製造工場全体で1日3-4トンの廃棄があり、産廃処理にかかっている費用はなんと年間3000万ほど。これを製品化できたら、ゴミを宝に変えられるかもしれないとちょっとした好奇心もありました。

最初はグランド用の白線、チョーク、野球のロジンバック(滑り止め)を商品化しました。当時は、食品工場から廃棄される卵殻を買取り、輸送することにコストがかかっていたので、なかなか従来の製品にコストが見合わず、どう頑張っても売値が高くなりました。それでも、環境に良いのだから買ってもらえるだろうと思って販売に至ったのですが、これが大誤算。いくら環境によくても3倍4倍の値段で買う人はいませんでした。応援の気持ちで1回は買ってくれたとしても、消費者が使い続けられる製品じゃないと、企業は存続できません。社会の役に立つと思ってはじめたのに、目の前のお客さんさえも喜ばせることができない。この現実にはとても落ち込みましたね。お客さんも喜ぶ価格設定や品質と、会社として利益を確保して継続するにはどうすればいいか、創業当時から試行錯誤する毎日でした。

卵殻リサイクル施設
卵殻処理機の設計図

コストを1/5に削減した、卵殻地産地消モデルの確立。

そこから2年間は何度もビジネスモデルを見直して、なんとかコストを削減できないかと、商品を地産地消することを目指しました。一番の問題だった輸送コストを減らすために、卵殻が出る工場に粉砕機器を設置し、その場で粉砕して、同じ地域で製品化する。そのためには、粉砕機器を自社で開発するという大きな壁が立ちはだかりました。当然私だけの知識ではできないので、様々な業者へ説明し開発の依頼に行きましたが、門前払いで全く話を聞いてもらえません。正直、会社としてはかなり厳しい状況で、もうだめかという思いが頭をよぎっては、必死に頭を働かせできることを考え実行していました。そんな時、ある粉砕機器のメーカーさんとの出会いがあったんです。

チャレンジ精神のある方で、私の話にじっと耳を傾けてくれて、一緒に粉砕機器の開発をしてくれることになりました。時間も労力も使って頂き、結果、機械の完成には至らなかったのですが、この出会いがなければ会社は続いてなかったでしょう。「人事を尽くして天命を待つ」というか、努力だけではどうにもならないところをこれまで幾度となく協力してくれる人との出会いが不思議なタイミングで支えてくれています。

その後粉砕機器は無事に完成し、機器を導入したことで生産コストが1/5まで削減に成功。徐々に商品も売れてきたので、その後は開発に力を入れました。ライン材やチョークなどを軸とした商品開発は、学校・スポーツはこの先も無くなることは考えにくいので、安定を考えて生産を拡大していきました。

株式会社グリーンテクノ21 代表取締役 下浩史

黒字転換まで10年。壮絶なリサイクル事業の実態。

しかし、リサイクルブームで創業した企業のほとんどが3年で廃業すると言われているように、なかなか軌道には乗れず、本当に苦労続きで黒字化するまで10年かかりました。商品を作っても売れなければ買い取った卵殻は毎日溜まっていきますし、逆に商品が売れすぎて卵殻が不足すると安定的に供給ができなければ大手メーカーは取り扱ってくれません。毎日が試行錯誤で、機器を開発し、工場に設置してもらい、商品を開発・生産し、在庫管理し、エコマークの取得、メーカーへの営業…業務は幅広く、専門知識も必要です。当時はインターネットもありませんから、毎日ひたすらに電話をし、話を聞いてくれるところ、少しでもヒントになる情報は全国どこでも出向きました。正直、倒産の危機も何度もかあり、当時の話をすると今でも涙がでてきます。

しかしいつもピンチのたびに私のビジョンに賭けてくれた方々がいました。そのおかげで、住宅資材、肥料、ロジン、など多様な商品開発を続けることができ、今があります。

また、今まで卵殻1本でやってこれたのは、卵殻素材の可能性があったからです。たかだか卵の殻と思うかもしれませんが、あの小さな殻の中には1万7000個の穴があり生命を育む仕組みがあります。多孔質、肥料成分、吸収力、保温など、多機能な素材でその機能は殻になっても、粉砕されても変わりません。

卵殻と歩んだ18年、いま倒れると目の前の卵殻がただのゴミになってしまう。今まで協力してくれた方、社員の顔が浮かび、なんとか必死にやってきました。

株式会社グリーンテクノ21 代表取締役 下浩史
ロジンバッグの製造作業

メーカーから原料供給業者へ。

卵殻の可能性を最大化し様々な商品を開発することで、現在年間12億個分を再生できるようになりました。おかげさまで主力のロジンバックは国内で約70%シェア、海外でも販売されています。しかしそれでも国内で廃棄されている全量にはまだまだ及びません。大きい目標かもしれませんが「廃棄ゼロ」を目指し、日々動いています。

今まではどんな商品を開発すれば「廃棄ゼロ」になるか考え、開発・販売してきました。しかし、これからは『卵殻供給業者』であろうとしています。私たちの手で商品開発をするより、多様な企業とアライアンスを組んで、私たちにはない自由な発想とその会社の強みをかけ合わせて、卵殻という素材をビジネスチャンスに役立てて頂ければ嬉しいです。「グリーンテクノに頼んだら、いろんな卵殻が手ごろな値段である。それを使ったら自分たちの製品の向上ができるかもしれない」と思ってもらいたい。そのために私たちは、卵殻供給のスペシャリストとして使いやすい様々な種類の卵殻を供給し、ノウハウも分かち合います。みんなで作っていくために、もっと協力してもらいやすいように努力していきます。その結果、卵殻が再利用される機会をたくさん作ることで、卵殻廃棄をゼロにするという大きな目標に向かって尽力したいと思っています。

グリーンテクノ21 社員の集合写真
グリーンテクノ21 社員の集合写真

卵殻や廃棄される原料のアップサイクルを文化に。

ライン材やチョークの原料である石灰石は、国内で採掘できるためコストが安く、みんなが使いやすい優秀な資源です。しかし、資源には限りがあります。いま採掘されている全てをリサイクルに変える必要はないと思いますが、卵殻がそれに変わることができるなら、せめて廃棄されている量を置き換えればその分の採掘量は減らしていけるはずです。卵殻で足りないのなら、ホタテの殻など他にも廃棄されている代わりになる原料はあります。現に、私たちが石灰石の変わりに卵殻でチョークを作ったころ、他のメーカーがホタテの殻で作りはじめました。これは素晴らしいことで、私たちがやっているのをみて、卵殻ができるなら他にもないだろうかと他社が考え、廃棄されるはずだったものが再利用される仕組みが1つ増えるのです。「廃棄されるはずだった資源を、再利用されるための機会を作る」それが私たちの1つの役割だと思っています。

学校で再生紙が使われることが一般的になったように、100年200年後でも小学生がグランドの白線を引きながら、「なんで卵の殻を使ってるんだろう」とふと考えるような、卵殻や廃棄される原料の再利用が当たり前になっている未来を作ることを目指しています。今までもたくさんの方々に助けて頂き、協業して頂き、共に歩んできました。今後もさらに多種多様な業種の方と、未来に誇れるアップサイクルの文化を一緒に作っていきたいと思っています。

株式会社グリーンテクノ21 代表取締役 下浩史
グリーンテクノ21が「卵殻廃棄ゼロ」に取り組む理由 ソーシャルインパクト特設ページへ

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